さて、最近話題の大径ホイールのカスタムについて少しだけまとめてみたいと思います。大径ホイールには大きく分けて「ホイール」、「トリプルツリー」、「フェンダー」の3つの構成要素が必要になります。今回はツーリングモデルに絞って、中でも重要な「ホイール」と「トリプルツリー」を中心に見ていきたいと思います!
バガー
バガーカスタム自体がジャンルとして確立したのはー…って考えてたら、近頃発売された雑誌に少し書いてありました。00年代中盤から人気が出て来たカスタムのスタイルで…と。ここ最近のカスタムジャンルとしては1番幅を利かせてるスタイルなのではないかと思います。というか、めっきり減ってしまったソフテイルやダイナのワイドカスタム、マイノリティなチカーノ・チョロスタイル、バガーとはまた少し違うHogg、スポーツのカフェスタイルやトラッカー、ドラマの影響もあるクラブスタイルと、様々なカスタムがある中で未だに人気のある多数派なジャンル…それこそバガー!そんなイメージです。
フルカスタムは置いといて、どこからがバガーカスタムなのかと言うとなかなか難しいところがあります。バガーのカスタム自体がツーリングモデルをちょっといじったらバガーって呼んでもいいよね?みたいな、そんな優しさ、ゆるさみたいなのも含んでると思うので、それが多数派たる所以と言ったらそんな感じかもしれません。どこからがバガーカスタムなのかという定義は難しいところなのです。もちろんバッグ付きの車両をバガーと呼ぶこともあるので、それもややこしくなる理由になってそうです。
チョロスタイルには21”のスポークホイールと高さのあるエイプバー、クラブスタイルにはフェアリングとTバーorかち上げライザー…みたいな、バガーにはそんなスタイルを決定付ける個性的な要素が薄い、少ないんじゃないかという感じがします。
ツーリングx大径ホイール
大径ホイールを履かせたツーリングモデルが日本でバガーカスタムのメインストリームに躍り出たのはここ2、3年あたりだと感じています。もしかしたらもっと前かもしれませんが、少なくても7、8年前のバガーカスタムは、メーカー自体に23”ホイールのサイズ設定はあったものの、フロントは21”を入れるのが主流だったはずです。
と言うのも当時のモデルも現行17年モデルもそうですが、ストックのフェンダーをそのまま使用してインチアップさせることのできるホイールの最大サイズが21”なのです。一部のCVOモデルや14以降のツーリングモデル等は、リロケーションと呼ばれるスペーサーでフェンダーを少し上げて使用する例はあります。が、今でも21”ホイールへのインチアップはベタなチョイスであるものの、間違いないスタイルなのです。しかし、ここ最近は特に23”以上の大径ホイールを入れてる車両の割合がかなり増えてきたように感じ、もしかしなくても今めっちゃ来てんじゃないの?って思う今日この頃なのです!
参考資料としてArlen Nessの08年カタログとPerformance Machineの09カタログのリンクを貼っておきます。
Arlen Ness 2008 Catalogue by Mark Battistini - issuu
Arlen Nessは36-37ページにホイールが載っています。00-07ツーリングモデル用で23”ホイールのサイズ設定が確認できます。まだこの時代はホイールをモリモリ作っていたんです。Cross Boneとかめちゃ懐かしい!今となっては…。って言うのもNessのホイールは17年のカタログで全デザイン廃番の方向のようなので。
Performance Machine HD 2009 by MAG Europe - issuu
Performance Machineは84-85ページです。見てもらうと分かりますが23”ホイールのサイズ設定はありますが、一部のデザインでしかラインナップにないです。
ちなみにPerformance Machineは16年までのカタログだとデザインに限りはありますが30”までサイズ設定があります。現在は最大34”(約86cm)!?を供給するホイールメーカーもあり、どえらいことになってますが、この大径ホイール化のカスタムが可能になった背景にツーリング用レイクツリーの登場があります。このレイクツリー無くして大径ホイールのカスタムはあり得ないのです!…っていうのは言いすぎですが、レイクツリーのお陰で大径ホイールカスタムのハードルが下がったというのが正しいところでしょうか。
レイクトリプルツリーとは
そもそもツーリングモデルにおいて大径ホイールを入れる為の選択肢として、フレームのネックを切ってディメンションを整える方法と、フレームはそのままでレイクツリーを入れる方法と大きく2つに分けられますが、どちらも大きい目的はホイールを入れる為のフレームとのクリアランス確保にあります。もちろんトレールを整える観点もあるとは思いますが、それはちょっと置いときます。一時は走行安定性の観点からネックをカットする方が良いのではないか?というのもあったと思いますが、最近はレイクツリーを入れる方が圧倒的に多いです。
その角度のついたトリプルツリーの事をレイクツリーと呼びますが、Nessのカタログだと2010年に初めてカタログに掲載された「Radical Raked Bolt On Tree Kits For FLT Baggers」、この前後当たりでツーリング用レイクツリーは広く認知され始めたのではないかと推測しています。ちなみにこのツリーは21”、23”用となっています。
Arlen Ness 2010 Parts Catalogue by Mark Battistini - issuu
「Radical Raked Bolt On Tree Kits For FLT Baggers」はカタログ12-13ページに掲載です。当時ちょっと怪しい商品…みたいな雰囲気があったと思います。21”ホイールにも、と書いてありますが21”ではほとんど入れてなかったように記憶しています。
最近はいろんなメーカーが出してます。あとで触れますね。
ホイールサイズによる見え方
ホイールデザインやレイクツリーの選定は置いておいて、サイズに寄って見え方がどう変わるのかってめちゃくちゃ大事です。なんせカスタムは見た目が大事なんで!雑誌やネット上でも検索したらいくらでも出てきますが、ここではこんな方法で比べてみるのはどうでしょう?
これ面白くないですか?DTR Builderと言うところが作っているこの仮想バイクビルダーソフト。いくつかのメーカーが出してますが、ホイールサイズだけ確認するのであればSinister Wheelというメーカーのが分かりやすそうなのでリンク貼っておきます。
HDを選んでいくと年式や車種を選択できるので、ぽちぽちいけます。これでサイズによる見え方、大径ホイールを入れた時の車両のバランスもばっちりですね!
大径ホイールメーカー
ホイールデザインめちゃくちゃ大事!好みありますからね。ホイール単体で見ると微妙でも、車両に入ってると、あれ?いいじゃん!となったりで、なかなか選ぶの楽しいです。が、アルミホイールに関してはJWLという安全基準を満たしているかどうかのマーク、これが入るかどうかが1つのポイントになります。これが入っていると車検もOKなので、その辺はJWLが入れられるメーカーのチョイスが必要になります。JWLが国内の基準なので、海外のメーカーで入れられるところは多くないです。
JWLに限らずざっくりホイールメーカーまとめておきますね。
・Performance Machine / パフォーマンスマシーン
もはや説明不要なアフターマーケットカスタムメーカーの中でも大御所メーカーのPerformance Machine(パフォーマンスマシーン)、通称PM。サイズ展開は16”~30”、一部デザインに限りです。カラーホイールにも対応。ちゃんとした代理店を通せばJWL入るようです。
・Renegade Wheel
デザインの種類が多いRenegade Wheel(レネゲード)。ちょっと前には銅メッキを推してましたが、最近は豊富なカラーバリエーションをアピってる様子。こちらも16”~30”で30”はデザインが限られてそうです。レイクツリーを取り扱うHHI(Hawg Halters Inc)はRenegadeを取り扱いしてます。
・RC Components
RC Componentsはアルミホイールはハーレー用もありますが、国産車なんかのホイールも設定あります。サイズは16”~26”。最近だとエキゾーストもちょっと推してる感じです。
・MAD Wheel
Clear Wheelという変わり種や車用のホイールも供給するMad Wheel。サイズは16”~32”で供給。
・Metalsport Wheel
ここは驚異の34”を供給。アルミの削りだしのツアーパックラックも出してます。何年か前のV-Twin Expoで32”を出してて、当時最大サイズだったのでその記憶がとても強いです。
・Paul Yafee
バガーカスタムにもはや避けては通れないブランド。ここも外装関係、削り物等多くパーツを供給。ホイールデザインは少ないものの、サイズは18”~30”をラインナップ。ここに納期で泣かされてる人も多いんじゃないでしょうか。ハンドルとかかっこいいんすけどねー。
・Sinister Wheel
国内だとBig Daddyというファットスポークのホイールで認知度が高そうなメーカー。Fat SpokeでいうとRide Wright Wheel、DNA Specialityと人気を3分するイメージ。ビレットホイールのラインナップは16”~32”。
・DNA Speciality
かっこいいリンクが貼れませんで。ここはスポークホイールがかなり安くでイーベイ?セカイモン?的なので出てます。ただ仕上がりイマイチ?な話聞きます。昔Custom Chorme(CCI)と言うアメリカの部品商社が取り扱っていましたが、取扱を辞めてしまったという経緯があります。ビレットホイールのサイズは16”~30”。
・Ride Wright Wheel
スポークホイール専門メーカーRide Wright Wheel(ライドライト)。スポークの本数にも寄りますが16”~30”までラインナップ。先日上げた30本スポークも30”までいけます。
・Thunder Bike
他にも、ドイツのHDディーラーであり自社パーツも供給するThunder Bike。限られたデザインで30”まで。ツーリング用のトリプルツリーもあります。
・Rick's
Rick`s Motorcycles – Harley Davidson Baden-Baden
Thunder Bikeと同じくドイツのHDディーラーであり自社パーツを供給するRick's。最近は多くないですが、ソフテイルのワイドキットが人気ありました。メタルワークが得意でリアフェンダーなんかも結構バリエーションあります。ホイールは30”まで。
ホイールは他にもあると思いますが、この辺が有名どころだと思います。並べると結構ありますね。
トリプルツリーメーカー
トリプルツリーのメーカーも少し上げておきます。トリプルツリーはホイールのサイズに合わせてチョイスするのが一般的かと思います。ただし、フレームとホイールの距離感の関係で23”用のツリーに26”をいれたり、ストックのツリーに23”を入れたりするケースはあるようです。
現在トリプルツリーは大きく分けると2種類あり、ツリーで寝かせるタイプと、ブロック+ツリーで寝かせるタイプに分けられます。後者はフレームからブロックを出してそこにトリプルツリーを付けます。この辺はまた別の機会に説明するかもです。参考動画でMC Baggersというメーカーのを貼っておきます。
・Hawg Halters Inc
Hawg Halters Inc、通称HHI。トリプルツリー以外にも多くの部品をラインナップ。トリプルツリー以外にもネックを切って溶接するキットなんかも出ています。
・American Suspension
フロントエンドのメーカーで、トリプルのみでなくフォークも供給しています。ここもネックから手を加えるキットが出てますね。
・MC Baggers
ここはトリプルツリーのみを供給するメーカー。アフターマーケットパーツにおいて珍しく韓国のメーカーです。ドイツのNo LimitやArlen Nessでも取り扱いしています。
トリプルツリーに関してはこんなところでしょうか。
最後に
だいぶ長くなりましたが、大径ホイールのカスタムについてはこんな感じです。他にもロードグライドにはこの部品が必要とか、ストリートグライドなどのやっこカウルにはレイクのベゼルが必要なんか細かいところもあるかと思いますが、大きくは「ホイール」、「トリプルツリー」、「フェンダー」の3点になります。その中でも「ホイール」と「トリプルツリー」は見た目もそうですがハンドリングにも直結する重要な要素です。乗り方やライフスタイルにあったカスタムができるといいですね!
ま